世の女性達が、高齢の方は「高倉健」のごとく、おねえちゃん達は「竹内力」のごとく、男性に対して義理と人情を炸裂させる日が終了した。
大量の糖質をせしめた原さんに比べ、40過ぎの糖尿予備軍(?)にとっては、周囲の騒ぎなどまったく関係のない日であった・・・と言いたいところだが。
この日、どうしても今日中に済ませなければならない振込みと、その振込み票をコピーして先方に郵送する・・・という、極めてしちめんどくさい作業をしなければならず、ただの振込み・郵送だけなら副酒にでも任せるところなのだが、比較的大きなお金も含まれていたため、やむを得ず自分で動いた。
先方から送られてきた振込用紙によると、どうも振込みは郵便局で行わなければならなかったので、とりあえず先に振り込み作業を行った。
その後、振込み票をもらった。その場でコピーしてもらえれば、そのまま封入して郵送できるので、「スミマセン。これをコピーしていただけますか?」と頼んでみたものの・・・。
「申し訳ございません。こちらではコピーはできないんですけど・・・」
と、「まちゃまちゃの10年後に+5キロ太らせたような局員」にあっさり断られた挙句、
「(局を)出て右の方に、セブンイレブンがありますので、そちらでコピーしてきてください」
と、コーナーに追い詰められた上に、逆水平連打をかまされた。私はなす術もなく、コーナーで崩れ落ちるたのだが、その後、局員は畳み掛けるように私の腕を取り、反対側のコーナーへ。
「あと、これどうぞお持ちください」
と、反対側のコーナーに追い詰められた私に対して、三沢エルボーの連打のごとく、いかにも「100円ショップで買い占めたお徳用」と思われる「義理チョコ」を、バラバラをカウンターの上に出し、目で「持って行けコラっ!」というのである。
「ふざけんなぁ! チョコなんかいらねぇ。そんなところでサービス気取ってんじゃねぇよ! この紙切れ一枚のコピーもできねぇくせに!」
と、私の魂は叫んだものの、相手もそれに気づくわけでもなく、私も学校近くの郵便局で問題を起すのもなんだし、表面上おとなしく、「あ、ありがとうございます」と、大してありがたみもない義理をいただいてしまった。
その後、とぼとぼとセブンイレブンでコピーを済ませ、封入して、再度郵便局でその封を郵送した。「金曜必着なんですけど、明日までに届きますかね?」とたずねると、今度はさっきの「まちゃまちゃ10年後+5キロ」より比較的若い女性局員が対応してくれた。
「順調にいけば、明日の午後には届くと思います。で・・・」
うんっ?
「これ、よろしかったら・・・」
バスケットに入った大量の義理。しかし、「魂のない義理はもう沢山だ!」と心は叫び、私は起死回生の渾身のラリアートを放つがごとく、言い放った。
「さっきいただきましたので、結構ですっ!」
若手女性局員は慌てて「あ、そうでしたね。スミマセンでした」とスゴスゴとバスケットを片付けた。相手の攻撃を受けきり、それなりのダメージは受けたものの、一発逆転で私のKO勝ちだ。
とはいえ、「義理と人情はかりにかけりゃ」という歌が流行った頃の、日本人の奥ゆかしさや誠実さは、一体どこへ行ってしまったのか? いまやバレンタインのチョコレートにさえ、「義理」すらもなくなってしまったではないか。この国は本当に「美しい国」になれるのだろうか・・・。
帰り道、あちこちでカップルが、しかも女性が小さな紙バックを持って歩く姿が見られた。それを見て私は、「そうさ。それこそ本来のバレンタインなのさ。日本の若者も捨てたもんじゃない」・・・そう思った。
義理のない義理チョコは、私がそれを食べて糖尿になるのはあまりに悔しいので、家に着くやいなや、子供達にばら撒いた。